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2013年(平成25年)











 

サンセバスチャン国際映画祭で優秀脚本審査員賞

映画「奇跡」

さわやかでヒューマンな物語は、名作「赤い風船」(1956年のフランスの映画=アルベール・ラモリス監督作品)などに共通するタッチの作品で、多くの人々を感動に導いている。スペインで開催された第59回サンセバスチャン国際映画祭コンペティション部門の優秀脚本審査員賞を「奇跡」の是枝裕和監督が受賞した。

福岡と鹿児島の舞台をみごとに連動させて展開する感動のエンターテインメント。受賞に値する作品。

是枝監督は「ワンダフルライフ」で同映画祭国際批評家連盟賞、「歩いても歩いても」で脚本家協会賞を受賞したことはあるが、本賞での受賞は4度目の参加にして初めてとなる。
審査員のノルウェーのベント・ハーメル監督から記念のトロフィーを受け取った是枝監督は、「ガボン(こんばんは)」とバスク語で挨拶。「ネクタイは用意したんですが、靴を忘れました(運動靴で登壇)」と会場の笑いを誘った後、「日本に帰ってこの賞を子どもたちと分かち合いたいと思います。大好きな映画祭なのでこれで卒業ではなく次もぜひ呼んでいただきたいです」と締めくくり、会場から大きな拍手が沸いた。

更に授賞式後の記者会見でも、是枝監督がステージに現れると記者たちの拍手と歓声に迎えられた。是枝裕和監督は「脚本賞は正直嬉しいです。でも実は私一人で書いたものではなくて、 このくらいは(トロフィーの上の方を指して)子どもたちのものです」とコメントした。

なお、最高賞の金貝賞(コンチャ・デ・オーロ)は、スペインのイサキ・ラクエスタ監督の“Los Pasos Dobles”が受賞。ラクエスタ監督は以前から是枝監督に敬意を表して、壇上の受賞挨拶でも「偉大な監督と同じコンペに出品できて嬉しい」と語り、是枝監督の名前も触れていた。先日の「後の日」の上映の後もわざわざ是枝監督に挨拶に来たほどの間柄。まえだまえだ(前田航基、前田旺志郎)は、「やったぁ~!!監督おめでとう。奇跡やわ。ホンマに世界の是枝監督やってんな。この映画も監督との出逢いも航基と旺志郎の一生の宝物です」とコメントした。

【解説】
丁寧に映像を積み重ねていく演出法はみごとで、監督として評価の高い是枝裕和監督。巧みな映像の積み重ねだけでなく、物語のシーンと主だった台詞から作り出す「ストーリー(あらすじ)」と「シナリオ(脚本)」展開の巧みさも素晴らしい。
鹿児島と福岡に別居した夫婦。2人の子供も分かれて生活が始まった。そんな2つのシチュエーションをみごとに物語は融合させていく。ストーリーの「運び」は練られたあらすじと推敲を重ね書き込まれたシナリオから生まれている。感動の物語。評価に値する脚本であり作品と言える。(富小路常明)

なお、DVD(限定版=6,300円)が発売される。



「まえだまえだ」と是枝裕和監督